専業主婦は新しい生き方だった

保育園落ちた日本死ね!!!」このブログが話題になりましたね。

ブログタイトルを見ただけで、お母さんの憤慨ぶりが想像できます。内容は読み手によって賛否両論あるようですが、正直すぎる気持ちを表現したことで大きくメディアに取り上げられました。待機児童の問題は深刻な割に解決へ向かっているようには見えませんので、今回の件で展開があれば良いと私は思っています。

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ちなみに、私の住む松山市の発表によると平成26年の待機児童数はゼロ。(保護者が就職活動中である場合や、私的な理由で特定の保育所のみを希望している方などを除いたもの)ここ2年間で597人の定員拡大を行ったことで待機児童ゼロを達成したようです。

松山市に住む私は、待機児童問題を肌で感じているわけではありません。だからと言って対岸の火事で済まされる問題でもありません。私も二児の父親として育児に関する問題には向き合っていこうと思っています。

にっぽんのお母さん

今回は、「戦後ニッポンのお母さん」について。

当院のサイトに書いたブログ「お父さんと育児」シリーズを書くにあたって、世界のお父さんと日本のお父さんを比較してみました。すると、日本のお父さんの家事・育児時間は他の国(アメリカ、イギリス、スウェーデンなど)に比べ、ダントツで少ないことが分かりました。

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ということは、「お母さん」が育児の大部分を担っていることになります。なぜニッポンではお母さんが育児をすることが当たり前になってしまったのか、その歴史をさかのぼってみます!

ところで、

当院には育児中のお母さんが多く来院されています。

お子様と一緒に来院される方、両親にあずけて来院される方、お兄ちゃんやお姉ちゃんが留守番をしている間に来院される方。そんな様子をみていると、育児中のお母さんはちょっとした外出にも労力を使っていることがわかります。

育児を任された「お母さん」たちの声を鍼灸院で聞くと(特にご主人への不満など)、私は肩身が狭くなる想いを何度もしてきました。今ではイクメンともてはやされつつある父親ですが、いつから女性が育児をすることを当たり前だとしてきたのでしょう。

専業主婦の誕生

私は今年37歳になります。私やもう少し上の世代では、母親が専業主婦という家庭は当たり前のようにありました。お母さん=専業主婦 のイメージです。育児は母(または祖母)がするもの。そんな家庭で私も育ちましたので、「お母さん(専業主婦)」が育児を担うことに何の疑問も抱くことはありませんでした。

しかし、「お母さん」に育児の責任を押し付けるようになったのは、ここ数十年のことだとわかりました。私が当たり前に見てきた「専業主婦」という女性の生き方も歴史的にみれば「新しい女性の生き方」といえるかもしれません。

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専業主婦というコトバ自体は、大正時代に誕生したと言われています。同じ時期に「サラリーマン」というコトバも誕生しました。大正や昭和初期にはごく限られたエリートがサラリーマンになり、外でお金を稼ぎ、家事や育児を妻にまかせることができました。家族中で働かなくてはならなかったこの時代に、専業主婦は少数でした。

しかし戦後から1960年代以降の高度経済成長により日本が豊かになった後、「サラリーマン」が一般的になり、「専業主婦」という生き方を選ぶ女性が増えていきました。

三歳児神話

ちょうどこの頃、「三歳までは母親が子供を育てるべき」という価値観が生まれます。(三歳児神話) 立派な人間を育成するために乳幼児期の家庭教育が重要だと当時の厚生労働省も訴えました。今でこそ、「合理的な根拠なし」と文部科学省も認めていますが・・。

また、私が生まれた1979年には『母原病』という本がベストセラーになりました。著者は小児科医。《子供の異常の60%は母親に原因がある》というセンセーショナルな主張です。

乳幼児期に母親が育児方法を間違えると、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、不登校、拒食・過食になるという内容です。著者である小児科医の臨床上の「経験」を本にしてるのでしょうけど、病気の原因が母親にあると断定できる根拠はどこにもありません。

著者の病院へ訪れたのは当時の専業主婦率からすると「母親」が多かったことでしょう。であれば、母親ばかり見ていると病気の原因が母親に見えてしまっても不思議ではありません。

国もメディアもこぞって「三歳児神話」を主張しました。それと「母親が育児をする」ことは別問題のはずですが、結果的には専業主婦である母親が育児を任される格好となりました。

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戦後、専業主婦が主流となり育児を母親に任せるようになったニッポン。

現在は〈サラリーマン・専業主婦〉世帯で生活していくことが難しい時代に変化してきました。専業主婦時代の育児体質(お母さんに任せる)を残したまま、お母さんも働かなくてはならない時代に突入すると、子供を預けられる受け皿は必須です。冒頭で触れた「待機児童問題」が解決しなければ、働きたくても働けないお母さんが増え続けることになります。

世界と比べ「育児はお母さん」という雰囲気が根強い日本。専業主婦という高度経済成長の産物が原因の一つになっていることがわかりました。

ただ、もう少し時代をさかのぼると、もう一つの原因らしきものが見えてきました。次回はもう一つの原因について書いていきます。

まとめ

・世界の諸外国と比べ、日本人男性の家事・育児に関わる時間は短い(1日平均39分)
・高度経済成長期に「専業主婦」が一般的な既婚女性の生き方になった
・同時期に「三歳児神話」が流行り、ますます育児は主婦に任されるようになった
・専業主婦という生き方はここ10数年のことであり、もう終わろうとしている(現在では共働き世帯数が追い抜いている)

つづきの記事はこちら→都合の良い「母性」

〈関連記事〉

当院のサイトにもお父さんの育児に関するブログを書きました。
お父さんと育児(1)~(3)
アメブロ記事:
父性と母性とめぐる(1)
父性と母性とめぐる(2)

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谷口 一也

はじめまして。谷口一也です。1979年愛媛県伊予市(中山町)で産声を上げました。 マイペースで我が道を行くB型。 育児と鍼灸に精を出す毎日です。 自宅での映画鑑賞やカフェ巡りが趣味。