前回の記事「意外と知らない正しいメガネのたたみ方」の続き。場所は松山市にあるメガネ店Raccontoでの出来事です。
パッと読む見出し
MADE IN JAPAN
「MADE IN JAPAN」この表記、私に安心感を与えてくれます。メガネも同じです。
では、メガネフレーム生産の国内シェア95%を誇る地方都市があることをご存知でしょうか?
正解は、福井県の鯖江市(さばえし)。
メガネの聖地 SABAE
鯖江市におけるメガネ産業の歴史は古く、100年以上前から日本のメガネを支えてきました。「MADE IN JAPAN」はすなわち「MADE IN SABAE」と言っても過言ではありません。
職人の高い技術力が脈々と受け継がれている、まさにメガネの聖地です。世界で初めて「チタン製」のめがねフレームを商品化したのも鯖江。メガネの加工技術は世界屈指と言われています。
200以上もの工程でつくられる鯖江のメガネは、すべて職人の手作業。それらを産地内分業によって、工程ごとに工場があるのも鯖江ならではです。
(くわしくは「鯖江メガネファクトリー」のサイトをご参照ください。)
鯖江のメガネ 「谷口眼鏡(TURNING)」
”職人の手作業”このあたりの話にめっぽう弱い私は、鯖江について熱く語ってくださるRacconto店主の木下さんの話を食い入るように聞くことになります。
鯖江発のメガネでRacconto店内の4割を占める(そのくらいあったような)ブランドが「TURNING(ターニング)」。
鯖江発のメガネブランドは私が調べた限りでも140を超えます。その中から店主の木下さんが選んでいる谷口眼鏡の「TURNING」。
素人の私が見ても透き通るようにきれいなアセテートやセルロイドのフレーム。そしてかけ心地も良い。でも、なぜ多くの鯖江ブランドの中から「谷口眼鏡」を選んで店頭に置いているのか?同じ谷口としては聞かずにはいられません。
その魅力を尋ねました。木下さんのお話の3割程度しかお伝えできる自信がありませんが、ざっとまとめますと、
1.技術力
何と言っても、技術的な部分で谷口眼鏡が優れているということだそうです。「かけ心地が良いメガネ」という表現に集約してしまいますが、各パーツの素材や形状に工夫があり、ノーズパッドも日本人の鼻に合わせた手作業だからこそできる微妙な加工がなされているそうです。
私が23歳から10年ほどかけていた999.9(フォーナインズ)のメガネ。
(まだ幼かった息子にレンズをパッカーンされたときのまま・・)
かけ心地がなんだか良いという理由で1本のメガネをかけ続けていたのですが、999.9の初期を支えていたメガネが実は「谷口眼鏡」製だったという話を聞いて、さらなる親近感がわきました。
2.顧客目線
谷口眼鏡を語る木下さんの口からは「謙虚」という言葉が何度も出ます。メガネ店とユーザーの満足を第一に考えている会社だと言います。
例えば、購入したメガネ店では調整できない不具合や部品交換は、メーカーに送って直してもらうことになりますが、戻ってきたメガネは不具合があった部分だけでなく、メガネ全体を見直し、ピカピカに磨いて新品同様の姿で戻ってくるそうです。ここまで丁寧な対応をしてくれる会社は滅多にないそうです。
谷口眼鏡は全ての製造工程を自社で行っているメーカーです。ほとんどのメーカーは外注だそうです。他に自社で製造しているメーカーは、白山眼鏡や金子眼鏡などがあります。メガネをかけている方なら一度は耳にしたことのあるメーカーではないでしょうか。
多くのメーカーが外注という業界でありながら、「自社製造」をしているのはメガネに対するこだわりや情熱、顧客に対する責任感が強いことが想像できます。「自社製造」という点においても小売店や顧客への誠意ある対応につながっているのでしょう。
また価格に関しても、ブランドによっては「ブランド名」という付加価値がつくことも。「メガネ」そのものの品質で判断すると、高いと言わざるを得ない。要は、盛っている。そんなメガネもあるそうです。
その点、谷口眼鏡の「TURNING」はメガネ店主の目から見ても適正価格だと言えるそうです。この作りなら、もうちょっと価格が高くてもいいのになあ。と思う品ばかりだそうです。
メガネは使うモノだからこそ、買った後が大切
この動画の最後に谷口眼鏡の代表はこう語っています。ものを買った人は「ものづくりの人たちと一緒になって価値を高め、それを以って満足としたい時代となる」と。だから、作り手としてはお客様の意識のとなりに座る、その姿勢がものづくりをする者の目指すべき姿だ、と。
この会社ならば、メガネを買った後のアフターフォローも安心できると感じます。メガネは使い続けるモノですから、ちょっとした要望に応えてくれるメガネ店やメーカーがそばにいることが何よりも大切ではないでしょうか。
そんな話を聞きながら、私はTURNINGのメガネを手に取ったのでした。
つづく。

谷口 一也

最新記事 by 谷口 一也 (全て見る)
- レンズ越しの感動 - 2021年7月29日
- 自動車クソ素人の僕がシトロエンC3を1年乗った感想 - 2021年2月10日
- 意思や行動も大切だけど、環境はもっと大事 - 2019年11月8日