【映画】『ルーム』は育児中のパパも観るべき映画だ

ルーム

寝ている息子と娘を、起こさないようにそーっと抱きしめました。

映画『ROOM(ルーム)』(2015年)のDVDをレンタルし、子どもが寝静まった後に鑑賞した私は思わず一時停止をして寝ている子どもたちを抱きしめました。そんな行動にでてしまうほど感情を揺さぶられる映画でした。

この作品でアカデミー主演女優賞をブリ―・ラーソンが受賞し、トロント映画祭では観客賞を受賞するなど評価の高い作品です。

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作品概要と予告編

監禁された女性と家族の物語、設定としては重いです。ただ、脱出劇がメインではなく脱出後を描いた点は珍しく、5歳の男の子の視点も含めてストーリーが展開されることもあり、この映画をエンターテイメントとして「楽しむ」ことができました。

5歳の男の子、ジャックはママと一緒に「部屋」で暮らしていた。体操をして、TVを見て、ケーキを焼いて、楽しい時間が過ぎていく。しかしこの扉のない「部屋」が、ふたりの全世界だった。 ジャックが5歳になったとき、ママは何も知らないジャックに打ち明ける。

「ママの名前はジョイ、この「部屋」の外には本当の世界があるの」と。混乱するジャックを説き伏せて、決死の脱出を図るふたり。晴れて自由の身となり、すべてが解決して幸せになれると思っていた。ところが-。 Wikipediaより

子育て中のママとパパが見るべき映画だ

この映画は子育てムービーと言っても過言ではありません。ストーリーの展開としては、前半の監禁生活と後半の脱出後に分けられます。これはネタバレではありません。脱出劇がメインの物語ではないからです。ですから、この映画をサスペンスとして観ることはお勧めしません。

脱出前の二人の世界と脱出後に二人が本当の”世界”とどう対峙していくのか、登場人物それぞれの個の内面を深く描いた作品です。

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監禁され限られた空間とモノの中で、懸命に育児を行う母親。卵のカラで恐竜を作ったり、狭い空間でも工夫して運動をさせている姿で愛情を表現しています。

二人が本物の親子のように見えてしまうほど、母親役のブリー・ラーソンと息子役のジェイコブ・トレンブレイの演技にはリアリティを感じました。

子をもつ親として共感の得られる場面も多く、前半部分でママと息子に心をわしづかみにされてしまいます。親子のつながりの強さを感じるほどに、脱出後の物語に感情を揺さぶられることにつながるのです。

選択と決断

母親のジョイは、7年間の監禁生活を強いられています。監禁生活中に誘拐犯との間に子どもができます。その子どもがジャックです。

ジャックが「部屋(へや)」と呼んでいるのは誘拐犯の自宅敷地内にある納屋。小さな天窓だけで外の様子を見ることはできません。ジャックにとっては、この「部屋」だけが世界。

テレビに映る人間もアニメも、ペッタンコに映っている偽物です。そんなジャックが5歳になったある日、母親は「部屋」の外側があることをジャックに教えます。部屋の外には世界があることを。そして自分たちがここに閉じ込められていることも。

嫌がるジャックに「お母さんを助けて」と説得し、脱出計画を立て練習します。母は息子の将来のためにひとつの賭け出ます。一度、誘拐犯の手に息子をあずけ、息子の生命力(脱出)に賭けたのです。この選択と決断には、親の並々ならぬ覚悟が必要です。もう、この後のことは私も祈るような気持ちで見守っていました。

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この映画のように、究極の選択と決断を要することは私たちの日常では中々起こり得ません。しかし、子どものためにお菓子を買ってあげる、そんな一つの選択も子どもの将来とは無関係ではありません。親は子どものために選択し決断し続けている事実を突き付けられました。

はじめて世界をみた

映画中盤の見どころでもある脱出劇。まだ助かるかどうかわからない、まさにその瞬間にジャックは初めて世界を目の当たりにします。

トラックの荷台から上空を見上げ、その圧倒的な”世界”をみた瞬間。

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私も同じように、小さなノートパソコンの画面から圧倒的な世界を共有することになります。私たちにとって当たり前の風景である青い空と雲と電線、ジャックの目を通すことで

「おおーーーっ!!」

と、新鮮な風景になりました。世界を初めて見た5歳児を追体験できます。その後、ジャックが見た世界の印象をナレーションとしてジャックの口から語られる場面がいくつか出てきます。それらは、世界の、私たちの常識を鋭く突いていたり、子どもらしい自由は発想にドキッとさせられます。

ジャックのセリフです。

「There’s so much of “place” in the world. There’s less time because the time has to be spread extra thin over all the places, like butter.」

世界にはたくさん「場所」がありすぎるよ。全ての「場所」に対してバターみたいに時間を少しずつ薄く振り分けないといけないから、時間が少なくなるんだ。

ルームの外には世界がある

内側と外側。この映画のキーワードの一つです。「部屋」が世界のすべてだったジャックにとって、内側や外側という概念が理解できません。へやの外側があることを想像できない5歳の男の子が世界に出て、戸惑いながらも順応していく姿は胸を打ちます。

かの有名なチャールズ・ダーウィンは言いました。
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生き残る種とは、

最も強いものではない。

最も知的なものでもない。

それは、変化に最もよく

適応したものである。

いま自分の置かれている環境に慣れきって、新しい環境へ飛び込むことに躊躇していないか。そんなメッセージをこの作品から投げかけられているように感じました。

まとめ

脱出後に訪れる親子と家族の苦悩と結末は、ぜひ作品を観て確認してください。

・親子の愛情
・はじめてみる世界
・内側と外側

この映画から、当たり前のように行っていた育児・仕事を、もう一度振りかえることができました。自分や世間の常識から脱却するきっかけとしては十分すぎるほどの感動とインパクトを与えてくれました。

私たちは知らず知らずのうちに自分の「部屋」を作り上げているのかもしれません。新しいものに触れ、なんでも試してみる。年齢と共におとなしくなってきたチャレンジ精神を奮い立たせたくなりました。育児中のママやパパはもちろん、仕事にマンネリを感じている方にもぜひ観ていただきたい1本です。

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谷口 一也

はじめまして。谷口一也です。1979年愛媛県伊予市(中山町)で産声を上げました。 マイペースで我が道を行くB型。 育児と鍼灸に精を出す毎日です。 自宅での映画鑑賞やカフェ巡りが趣味。