自称「空気の読める人」の私が『空気を読んではいけない』を読んだ感想

空気を読んではいけない

『凡人が空気を読んでしまったら、本当に「空気」になってしまう。

「空気」は果たして幸せだろうか?何かを達成できるだろうか?』

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青木真也という総合格闘家をご存知でしょうか?

わたくし、こう見えて総合格闘技を観ることが大好きです。たまたま書店で青木選手の本を見つけてしまって、ペラッとめくったところ、冒頭の一文が目に飛び込んできました。

青木真也 
1983年生まれ 格闘家。大学生の時に柔道から総合格闘技へ転身。大学卒業後、警察官となるも二ヶ月で退職し総合格闘家へ転身する。「DREAM」「ONE FC」の2団体で世界ライト級王者に輝く。と、ここまでが書籍でのプロフィール。

青木選手は打撃というより、関節技を得意とする選手です。青木=関節技という自分のスタイルを確立しています。ただ、試合に勝った直後に倒れている相手選手を中傷する言動があり、激しくバッシングを受けたこともありました。そのあたりも含めて「空気を読んでいない」ことが伺える人物です。

青木選手は幼少期から柔道を始めますが、体が大きいわけでもなく、ずば抜けた身体能力があったわけではないことから、関節技に磨きをかけて勝つことにこだわっていたと本書にも書いています。

柔道といえば、背負い投げ、内股などの投げ技をきれいに決めてこそ、日本柔道。そんな暗黙の了解がある世界で関節技で一本を取りにいく選手は、空気が読めていないとみなされます。ただ、センスや才能もない選手が柔道を続けていくには勝ち続けることでしか存在価値を見出せない、そのための関節技と考えたそうです。

下の動画をご覧ください。学生時代の柔道の試合を青木さん自身の解説付きで紹介されています。

青木選手のような柔道の試合は、なかなか目にすることはありません。勝った後に喜ぶ青木選手と、まわりの何とも言えない「空気」が印象的です。ルール違反でもなんでもなく、合理的な勝利です。

不安定に飛び込む

本書では格闘家らしいキレのある言葉で「空気を読んではいけない」理由が書かれています。キレがありすぎて、私にはすべてを参考にできませんが、プロとしての生き方は見習うべきことが多くありました。

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たとえば、「不安定に飛び込む」という項に、

フリーランスは保障もなく不安定な立場とよく言われるが、実は不況に一番強いと思っている。組織にぶら下がることなく、安定を捨ててこそ、本物の強さが得られる。

格闘技界で一時代を築いた「PRIDE」や「DREAM」という団体に雇用されている時に感じた安定が実は一番のリスクだった、と。当時は世界一の団体であった「PRIDE」が潰れた時、団体の浮き沈みで生活が左右されるようでは話にならないと痛感したそうです。

鍼灸師にも安定した場所は多くありません。

むしろ不安定であることが基本です。しっかりとした組織運営をされている鍼灸院はごく少数です。病院や接骨院、鍼灸整骨院、介護施設などで働く鍼灸師が多く、鍼灸ではなく手技療法(整体)の業務を強いられる場合も少なくありません。

雇われる安定と引き換えに、やりたいこと(鍼灸)が十分に行えない現状があります。以前の私もそんな鍼灸師でした。「安定のなかでは本物の強さが得られない」という青木選手の言葉が響きます。

私の場合は独立後、おしりに火がついて初めて、本気で技術を身につけなければ生きていけない状況になり、ついに自分の理想とする鍼灸術にも出会えました。安定を捨てると、本物を見つけるアンテナが強くなるんだと思います。

他人の幸せに乗らない

本書で一貫しているメッセージは「他人の幸せに乗ってはいけない」ということ。一度しかない人生で世間的な幸せに惑わされている時間はないと書かれています。なにが自分にとっての幸せなのかぼやけていないだろうか、と。

空気を読んでいるというのは、他の人に歩調を合わせることでもあります。場の雰囲気を合わせていることで、知らず知らずのうちに価値観までも他人の基準に合わせてしまっているかもしれません。

格闘技に興味がなくとも、自分の幸せってなんだろうと改めて考えることができる一冊。おススメです!

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おまけ

日常会話としても登場する、空気を読むという日本語。場の空気を察するという意味であってたり、コミュニケーション能力として肯定的に解釈する場合に用いられたりします。

KY(ケー・ワイ)という言葉が流行(2007年)したこともあります。今ではあまり耳にしませんが、当時はKYを「空気の読めない人」という否定的な意味で使っていました。「空気」関連の書籍も書店で見かけることも多いのですが、時代の流れとともに「空気を読む」の捉え方に変化が見えます。

2006年~ 空気読めない人のために 
(空気を読めることが良い)
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この時代の価値観として、「空気を読んで」協調性のある人物が求められていたということになります。

2008年以降、自分らしさや個性を大事にするためには、空気を読んでばかりではいけない。そんな内容の本が増えていきます。

2008年~ 空気読まなくていいよ
(空気読まなくてOK)
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2016年、空気を読んでいては自分の幸せはつかめない!という強めのメッセージが、本当に強い格闘家から発せられました。他人の目を気にせず、自分なりの幸せをつかもうよ。時代はそのように変化しているのでしょうか。

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谷口 一也

はじめまして。谷口一也です。1979年愛媛県伊予市(中山町)で産声を上げました。 マイペースで我が道を行くB型。 育児と鍼灸に精を出す毎日です。 自宅での映画鑑賞やカフェ巡りが趣味。